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鼓動の音だけが耳の中で鳴っている。
赤い月がぐらりと落ちて、僕は仰向けに畳の上へ寝かされた。

「たっくん、たっくん……!」

何度も僕の愛称を呼びながら、叔母がのしかかってきた。
濡れた重みが心地いい。
僕は理性をかなぐり捨て、叔母の浴衣の合わせ目から手を入れると


   (割愛)  →18歳以上


叔母の肩のあたりへぐったりと頭を横たえ、僕は荒い息を繰り返していた。
目を閉じていた叔母が、ちらりと細めで僕を省みる。

「……やっちゃったな」

「ん?うん……」

「ごめん。でもなんで、あんな気分になったのか……わからないんだ」

叔母は冷静になるにつれ、動揺しているようだった。
そんな顔はしないで欲しい。僕は言った。

「如月叔母さんのこと、昔から好きだったんだ。好きだよ」

「たっくん……」

体を起こした叔母が僕を覗き込む。

いとしげだった表情は、しかし突如驚愕に変わった。

「まさか、そんな」

「叔母さん?」

叔母は口元を押さえ、限界まで目を見開いて僕を凝視している。
瞳孔がぎゅっと絞られている。
上気していた頬はあっという間に白く血の気が引いていった。

「どうしたの?」

「――思い出した。思い出したんだ!まさか、でも、でもっ!」

「しっかりして」

伸ばした僕の手を、恐怖に満ちた瞳で叔母は払いのけ、こう叫んだ。

「寄らないで、兄さん!」

「兄さん?父さんがどうかしたの」

「いやっ、いやああああああっ!!」

絶叫し、僕を突き飛ばすようにして立ち上がった叔母は、着衣の乱れもそのままに戸口を抜けて走り出してしまった。

「どうしたんだ」

瞳孔が小さな点になってしまった、一種異常な表情を思い返し、僕は急な不安に襲われた。
僕の顔を見て、何を思い出したんだ。

今はとにかく追うべきだ。僕は叔母の姿を探し、廊下へ走り出た。


>>叔母は……
by sillin | 2005-06-30 21:39
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