「もちろん協力するよな、たっくん」
凛とした声が言った。いつのまにか如月叔母が浜辺の道に立っていた。 「叔母さん、どうしてここへ」 「あなたは……」 僕と霞の声が重なる。 その先で、叔母はかけていたサングラスをはずし、咥えタバコをくゆらせながら言った。 「霞、久しぶりだな。私にもあなたの姿が見えると言うことは、十年前の始末をつけさせてくれるってことだろ?」 「私には……そんなつもりは……」 霞の目はわずかに泳いでいる。 神さまにも動揺や予期せぬことがあるのだ。 「あなたになくても私にはあるんだ。十年前、絵里と約束した。必ずいつか、封じてやるって」 如月叔母の目は真剣だった。 霞は口元をぎゅっと結ぶと、うなずいた。 「わかりました。……琢馬君」 今まで見た中で一番厳しい表情をした霞は、僕に深い黒の瞳をあてる。 「徹郎君が大禍山津見神に操られている。あなたもかつての如月さんのように、親友のため命を懸けられるかしら」 「やるよ」 叔母は僕のあこがれだった。その叔母と同じ立場に立ったのだ。答えは一つだった。 もう一度霞はうなずく。黒髪が光の輪を波打たせてさざめいた。 「車はあっちだよ」 叔母はそう言って、少し霞を見つめた。 神さまが車に乗るのかと考えているらしい。 >>車へ #
by sillin
| 2005-07-04 16:16
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